たちよれば(式部大輔光範)

短歌 に関する記事

たちよれば すゞしかりけり 水鳥の
あおばの山の 松のゆふ風 式部大輔光範

■ 訳

(青葉山に)立ち寄ると(いつも)涼しいものだ。
青葉山の(常に若々しい)松(の葉)を凪ぐ夕風は。

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わが恋は(よみ人しらず)

短歌 に関する記事

わが恋は み山に生ふる はたつもり
積もりにけらし 逢ふよしもなし よみ人しらず

■ 訳

私の恋は(まるで)深い山に生える令法(リョウブ:畑つ守)だよ。
(雪が)積もってしまって(あなたに)逢う方法もない。

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常世辺に(高橋虫麻呂)

短歌 に関する記事

常世辺に 住むべきものを 剣大刀
汝が心から おそやこの君 高橋虫麻呂

■ 訳

常世の国に住むことができたに違いないというのに、心底愚かなことだよ、水江の浦の嶋子は。

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春の日の(高橋虫麻呂)

長歌 に関する記事

春の日の 霞める時に 住吉の 岸に出で居て
釣舟の とをらふ見れば いにしへの ことぞ思ほゆる

水江の 浦島の子が 鰹釣り 鯛釣りほこり
七日まで 家にも来ずて 海境を 過ぎて漕ぎ行くに
海神の 神の娘子に たまさかに い漕ぎ向ひ
相とぶらひ 言成りしかば かき結び 常世に至り
海神の 神の宮の 内のへの 妙なる殿に
たづさはり ふたり入り居て 老いもせず 死にもせずして
長き世に ありけるものを 世間の 愚か人の
我妹子に 告りて語らく しましくは 家に帰りて
父母に 事も告らひ 明日のごと 我れは来なむと
言ひければ 妹が言へらく 常世辺に また帰り来て
今のごと 逢はむとならば この櫛笥 開くなゆめと
そこらくに 堅めし言を 住吉に 帰り来りて
家見れど 家も見かねて 里見れど 里も見かねて
あやしみと そこに思はく 家ゆ出でて 三年の間に
垣もなく 家失せめやと この箱を 開きて見てば
もとのごと 家はあらむと 玉櫛笥 少し開くに
白雲の 箱より出でて 常世辺に たなびきぬれば
立ち走り 叫び袖振り こいまろび 足ずりしつつ たちまちに 心消失せぬ
若くありし 肌も皺みぬ 黒くありし 髪も白けぬ
ゆなゆなは 息さへ絶えて 後つひに 命死にける

水江の 浦島の子が 家ところ見ゆ 高橋虫麻呂

■ 訳

(暖かな)春の日の霞掛かった時、住之江の岸に出て(沖に出ている)釣り船がゆらゆらと揺れ動いている様子を見ると、昔のことを思い出します。

(昔、)カツオやタイを釣る(上手さを)自慢にしている水江の浦の嶋子がいました。
七日間も家にも帰らず海を渡って海の果てまで漕ぎ出すと、海の神様の娘に偶然出会いました。
互いに語り合い、話が合って(恋は)成就し、(二人は)結ばれて常世の国に行き着きます。
海の神様の宮殿の内にある立派な邸宅に連れ立って二人は暮していましたが、老いも死にもせず生きられたのに、俗世の愚かな人間である水江の浦の嶋子は妻に、
「少しの間、実家に帰って両親に(結婚して立派な屋敷で暮らしていることを)相談してくるよ。明日には帰ってくるよ。」
というと、妻は
「常世の国にまた戻り、今のように(私と)逢いたいと思われるのでしたら、この櫛箱を決して開けないでください。」
と伝えますが、あれほどしっかり約束したのに…。

住之江に帰った水江の浦の嶋子は家を探しても、家は見つからず、里を探しても、里は見つかりません。
奇妙なことだ、と思案します。
「家から出てわずか三年の間に垣根も家もなくなるなんて。もしかしてこの櫛箱を開いてみれば、元のように家が現れるのでは。」
と、(妻に手渡された)美しい櫛箱を少し開いてみると、箱からは白い煙が出てきて、常世の国の方まで棚引いていきます。
(慌てて)走り回り、叫び、袖を振り(煙を追いやろうとし)、転げまわり、地団太を踏んでいましたが、あっという間に(煙に巻かれて)気絶してしまいます。
(すると、)若かった肌はしわだらけに、黒かった髪は真っ白に、しまいには息も絶え絶えとなり、その後死んでしまいました。

昔、水江の浦の嶋子の家のあった場所が見えます。

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けふはけふの道の(種田山頭火)

俳句 に関する記事

けふはけふの道のたんぽぽさいた 種田山頭火

■ 訳

今日(歩いた道には)今日(歩いた)道のタンポポが咲いた。

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