住吉の(娘子)

短歌 に関する記事

すみのえの 岸野のはりに にほふれど
にほはぬ我れや にほひて居らむ よみ人しらず

■ 訳

(現在の大阪府)住吉の岸辺の野に生えている榛(ハジバミ:種子や樹皮を黄色の染料として用いていました)にも染まらない(ほど頑固な)私の考えも、(翁のお話を聞いて)染まってしまいました。

■ 解説

「すみのえ」は現在の大阪府住吉のことで歌枕、「岸野」は川岸の野原、「はり」はハシバミ(川沿いに自生していたりします)、「にほふれど」は染めようとしても、といった意味になります。
この詩での「にほふ」はすべて染まると言う意味で使用されています。「にほふ」には「美しく」咲く、「美しく」染まるなどの意味もあり、ただ染まるのではなく感化されることでより思考を昇華させた様子も含まれるのかもしれません。

■ この詩が詠まれた背景

万葉集第十六巻(3801首目)に記載されている短歌です。
この短歌は、3791首目の長歌及び反歌を聞いた少女たちの詩となります。
翁の話に感化され、より柔軟に思考を受け入れられるようになった様子と見ることが出来ます。

■ 豆知識

「すみのえ」は歌枕ですが、歌枕とは本来、日常会話を和歌で詠まないための洗練された語句のことです。
ところが、時代が経つうちに歌枕は名所旧跡としてのみに用いられるようになりました。
後に歌枕を含む古歌の一部をそのまま拝借した本歌取(ほんかどり)が行われるようになると、名所に対するイメージの定着も行われるようになり、山水図や屏風絵、襖絵などのテーマ(名所絵)として用いられるようになりました。

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