春の野の(娘子)

短歌 に関する記事

春の野の したくさなびき 我れも寄り
にほひ寄りなむ 友のまにまに よみ人しらず

■ 訳

春の野に咲く草花が風でなびくように、私も(翁の話に)従います。
(先に詠んだ)友達と同じように、私も(その歌に)気持ちが動かされました。

■ 解説

「したくさ」は草花、「なびき」はなびかせる、もしくは服従する、同意する、「にほひ」は気分、気持ち、「まにまに」は(他の人の意見に)したがって、といった意味になります。
「なびく」は風で草花がなびく様子と、心が促される様子の両方を意味しています。

■ この詩が詠まれた背景

万葉集第十六巻(3802首目)に記載されている短歌です。
この短歌は、3791首目の長歌及び反歌を聞いた少女たちの詩となります。
この詩で使われている「なびく」ですが、力に屈して同意している印象を受けます。周りの友人が全員翁の意見に従ったため、(本心ではないが)仕方なく意見に従ったのでしょうか。

■ 豆知識

この詩で九人の娘たちの詠んだとされる詩は最後となります。
しかし、9人の乙女が詠んだことになっていますが、実際には8人しか詠んでいません。(最初の一首は状況説明です。)
もし、元々の乙女の人数が8人であれば、「丹後国風土記」に記されている「羽衣伝説」に登場する天女の人数と一致します。
もしかしたらこの2つの物語には、何かつながりがあるのかもしれません。

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