■ 解説
「あめつちの」は「天地の」と書いて天と地、「別れし時ゆ」は分かれた時から、つまり天地開闢時から、「神さびて」は神々しく、「天の原」は(神々が住むと言う)高天原、もしくははるか上空、「振りさけ見れば」は、はるか遠くから見れば、「渡る日」は移動する太陽、「影」は(太陽の)光、「はばかり」は恐縮する、「時じ」は時期に関係なく、もしくは絶え間なく、「継ぎ」は世継ぎ(子世代)をそれぞれ意味します。
富士山の偉大さをたたえる詩で、特にどこが素晴らしいのかは反歌である「田子の浦ゆ」にて詠われています。
■ この詩が詠まれた背景
この歌は万葉集第三巻、317首目に記載されている歌です。
冒頭に「山部宿祢赤人望不盡山歌一首」と書かれてある通り、「不盡山」つまり富士山を詠んだ詩です。
■ 豆知識
山部赤人の和歌は叙景歌で知られ、特に反歌では客観的な詩が多く詠まれています。
太陽の「日」と「月」、「影」と「光」は対句と呼ばれる表現方法です。
「語り継ぎ」と「言ひ継ぎ」は反復と呼ばれる表現です。
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