かささぎの(中納言家持)

短歌 に関する記事

かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きを見れば 夜ぞ更けにける 中納言家持

■ 訳

霜が降りてきて、まるでカササギが架けたかのように白くなっていく橋を見ると夜が更けていってるって感じるなぁ。

■ 解説

「かささぎ」はカササギ(カラス科の鳥類)、「渡せる橋に」は架けた橋のように、「おく霜の」は霜が降った、「白き」は白くなっていく、「更けにける」はふけてゆく、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この歌は新古今和歌集(第六巻 620首目)、小倉百人一首の第六首目に記載されている歌です。

カササギがこの歌に詠まれている理由は、七夕伝説に由来します。
中国や朝鮮半島では七夕の夜、織姫と彦星が出会う際に、カササギが羽を並べて橋を作り架け橋とする役を担うという伝説があり、その伝説の架け橋のように霜で白くなってゆく橋をみて詠んだ歌と思われます。

■ 豆知識

作者は大伴家持(おおとものいえもち)で三十六歌仙の一人です。
万葉集に残されている家持の歌は473首にものぼり、全体の約1割を占めていることから、家持が万葉集を編纂したのではないかといわれています。(ちなみに、この詩は万葉集には載っていません。)

この時代、カササギは日本に生息していなかったと考えられているため、実際にはシラサギを見てカササギとして詠んだのだといわれています。
現在日本に生息するカササギは、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に持ち帰ったものが繁殖したものと言われています。

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