わびぬれば(小野小町)

短歌 に関する記事

わびぬれば 身をうき草の ねをたえて
さそふ水あらば いなむとぞ思ふ 小野小町

■ 訳

落ちぶれたこの身は、まるで根の無い浮草のようにフワフワしていますので、誘いの水さえあれば、どこにでも行こうと思います。

■ 解説

「わびぬれば」は行き詰まった様子、「ねをたえて」は根の無い様子、「さそふ水」は誘い水(つまりきっかけ)、「いなむ」は行こう、をそれぞれ意味します。
「三河国(現在の愛知県東部)」の話であったので、「河」に合わせて「浮き草」「水」を敢えて組み込んだ詩で、会話自体を楽しんでいる様子が伺えます。

■ この詩が詠まれた背景

この歌は古今和歌集 第十八巻(雑歌 938首目)に収録されています。
古今和歌集の題名に「文屋のやすひでみかはのぞうになりて、あがた見にはえいでたたじやといひやれりける返事によめる」(文屋康秀が三河国の(ぞう)になった際に、一緒に(任地)に行きませんか?と言われた際に返事として詠んだ)と書かれています。

■ 豆知識

説話集(古今著聞集や十訓抄など)にはこの詩を元にした話が載せられています。

■ 関連地図


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