たむけには(素性法師)

短歌 に関する記事

たむけには つづりの袖も きるべきに
もみぢにあける 神やかへさむ 素性法師

■ 訳

(私の着ている)つぎはぎだらけの貧相な袖でも切って手向けの幣として捧げるべきなのでしょうが、この美しい紅葉に見慣れている神様は「そんなもん要らん」といって付き返されるのがオチでしょう。

■ 解説

「たむけ」は手向けと手向山(歌枕)を掛けたもの、「つづり」はつぎはぎ、「あける」は飽きる、もしくは見慣れている、「かへさむ」は返すことだろう、となります。
この詩は前回の菅原道真の詩に触発された素性法師が詠んだものです。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(羇旅歌 421首目)に収録されています。
前回説明した「吉野宮滝御幸」に同行した素性法師が菅原道真の詩を聞き、その翌日に読んだものといわれています。

■ 豆知識

「つぎはぎだらけの貧相な袖」と訳していますが、実際に僧衣がつぎはぎだらけというわけではなく、謙遜した言い回しです。

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