名にしおはば(三条右大臣)

短歌 に関する記事

名にしおはば 逢坂山の さねかづら
人に知られで くるよしもがな 三条右大臣

■ 訳

恋しい人に逢えるという名の逢坂山、その山に生え、一緒に一夜過ごせるという名の小寝葛(サネカズラ)、その名の通りであるならば、誰にも知られず貴女をその場へ連れ出せればいいのに・・・。

■ 解説

「名にしおはば」は〜という名を持つ、「逢坂山」は逢坂の関のある山のこと、「さねかづら」は植物のさねかずら(美男葛とも呼ばれ、樹液で髪を整えていました)と、さ寝(共寝すること、端的に言ってしまえば同衾すること)を掛けた言葉、「人に知られで」は誰にも知られること無く、「くる」は来ると(手)繰る(連れてくる)を掛けた言葉、「よしもがな」は方法は無いものか、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は後撰和歌集 第十一巻(恋歌三 701首目)、小倉百人一首の第二十五首目に収録されています。

後撰和歌集には「女のもとにつかはしける」とあることから、意中の女性の元に手紙を送った際の詩でしょう。
当時は携帯電話もメールも無く、手紙をやり取りして連絡を取り合っていたのですが、「人に知られで」と書かれていることから、人目を忍んだ恋だったのでしょうか。
サネカズラはつる草ですので、「くるよしもがな」からそのつるを手繰ればあの人がやって来てくれるのではないか、といったことも込められているのかも知れません。

■ 豆知識

作者は藤原定方で、醍醐天皇の外叔父に当たる人物です。
また、源氏物語の作者として有名な紫式部の曽祖父に当たります。

逢坂山は蝉丸が詠んだ第十首目の逢坂の関のあった山のことです。

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