秋くれば(藤原興風)

短歌 に関する記事

秋くれば 虫とともにぞ なかれぬる
人も草葉も かれぬと思へば 藤原興風

■ 訳

秋が来ると、虫が鳴くように私も悲しくなって泣いてしまう。
人も離れ、草や木の葉も枯れてしまうと思うと…。

■ 解説

「なかれぬる」は泣くと鳴くをかけたもの、「かれぬ」は前回同様、人が離れる(離れと書いて「かれ」とも読みます)と草木が枯れるを掛けた言葉で、人も草木もいなくなる、という意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は寛平五年九月(893年)秋に行われた「是貞親王家歌合」で詠まれた詩で、この時詠まれた歌はすべて秋をテーマにしたものです。
この時詠まれた詩の一部は新撰万葉集に含まれていますが、今回紹介した詩は含まれていません。

■ 豆知識

作者である藤原興風は三十六歌仙の一人です。
前回紹介した源宗于の詩の本歌です。
藤原興風の他の詩は、小倉百人一首にも選歌されていますので、後日紹介します。

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