山川に(春道列樹)

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山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり 春道列樹

■ 訳

山を流れる小川を堰き止めていた原因は、風が吹いたことで舞い散った紅葉だったのか。

■ 解説

「かけたる」は(橋などを)架けること、もしくは風、紅葉と掛け、空高く飛ぶ様子のこと、「しがらみ」は水流をせき止めるため柵のこと、「あへぬ」は敢ふの打消し(しようとしてもできない)、もしくは合うの打消し(一つになれない、合流できない)を意味します。
「かけたるしがらみ」という表現から擬人的手法が用いられています。

■ この詩が詠まれた背景

この詩はは古今和歌集 第六巻(秋歌下 303首目)、小倉百人一首の第三十二首目に収録されています。
古今和歌集の題名には「しがの山ごえにてよめる」(志賀の山越(志賀越道)の際に詠んだ)と書かれています。

■ 豆知識

作者は春道列樹(はるみちのつらき)で、物部氏の一族です。
曽祖父に当たる川上造吉備成(かわかみのみやつこきびなり)が春道宿祢の姓を賜ったことが続日本後紀の記述に記されています。

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