ひさかたの(紀友則)

短歌 に関する記事

ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ 紀友則

■ 訳

こんな穏やかな春の陽気に、桜の花はなぜ慌しく、そして儚く散ってしまうのだろう。

■ 解説

「ひさかた」は日や月、空に掛かる枕詞(名詞としては月を指します)、「のどけき」は穏やかな、あるいはのどかな、「静心無く」は落ち着き無く、「花」は桜の花、「らむ」は「どうして〜なんだろう」をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩はは古今和歌集 第五巻(春歌下 84首目)、小倉百人一首の第三十三首目に収録されています。
古今和歌集の題名には「桜の花のちるをよめる」と書かれています。
「しづ心なく 花の散るらむ」という表現から、もしかしたら知人の死を詠んだのかもしれません。

■ 豆知識

作者は紀友則(きのとものり)で、古今和歌集の撰者の一人です。
しかし、古今和歌集の完成を見る前に没してしまいます。
同じ撰者である紀貫之、壬生忠岑がその死を悼んだ歌が古今和歌集 第十六巻、838首、839首目に収められています。

ちなみに、紀貫之とは従兄弟に当たります。

■ 関連地図


大きな地図で見る

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: