夏の夜は(清原深養父)

短歌 に関する記事

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいづくに 月宿るらむ 清原深養父

■ 訳

夏の夜、まだ夜中だと思っていたのにもう明けてしまった。
空に昇るあの月は、(西の空まで辿り着けそうも無いけれど)いったいどの雲で宿を借りるのだろう。

■ 解説

「明けぬる」は明けてしまった、「いづく」はいずこ、つまり何処、「宿るらむ」は「宿る(宿を取る)のだろう」といった意味になります。
ちなみに、与謝蕪村の俳句に「菜の花や 月は東に 日は西に」というものがありますが、これは、日が西に沈む頃、月が東から上がる様子を指したもので、必然的に満月を指します。
ちなみに、太陽が昇ると同時に上る月は新月(見えませんが)、真夜中に沈む月は上弦の半月、真昼に沈む月は下弦の半月となります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第三巻(夏歌 166首目)、小倉百人一首の第三十六首目に収録されています。
古今和歌集の題名に、「月のおもしろかりける夜、あかつきがたによめる」、風流ある月が上った夜明け前(日の出前)に詠んだ、とあります。
ちなみに、「あかつきがた」とは、曙よりもすこし前の時間帯を指します。
(あかつき(あかとき)⇒あけぼの≒しののめ⇒朝ぼらけ⇒有明の順に夜が明けてゆきます。)

■ 豆知識

作者は清原深養父(きよはらのふかやぶ)で、中古三十六歌仙の一人です。
深養父の曾孫(孫と言う説も)は、枕草子を書いた清少納言です。

孫の清原元輔も歌人として優秀で、勅撰和歌集である後撰和歌集の編纂を行っています。
琴の名手として知られており、後撰集には清原深養父が琴を弾くのを聴きながら藤原兼輔と紀貫之が詠んだという詩(「短夜の更けゆくままに…」、「あしびきの山下水は…」)が収められています。
この2首については次回、次々回に記載します。

■ 関連地図


大きな地図で見る

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: