契りきな(清原元輔)

短歌 に関する記事

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは 清原元輔

■ 訳

互いに(涙で)袖を濡らしながら約束したよね。
末の松山を波が決して越えないように、絶対他の人を好きになんかならないって。

■ 解説

「契りきな」は約束する、「かたみ」は互いに、「末の松山」は宮城県多賀城市付近の名所で歌枕、「こさじとは」は越えることが無い、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は後拾遺和歌集 第十四巻(恋歌四 770首目)、小倉百人一首の第四十二首目に収録されています。
後拾遺和歌集に掲載された題名「心變り侍りける女に、人に代りて」と書かれていることから、永遠の愛を誓ったのに裏切られた男性に代わって想いを詠んだ詩です。

■ 豆知識

作者は清原元輔(きよはらのもとすけ)で三十六歌仙の一人です
枕草子で著名な清少納言の父親で、祖父(父とする説もあり)は、小倉百人一首 36首目に収録されている、清原深養父です。

梨壺の五人の一人として後撰和歌集の編纂を行っており、万葉集の解読も行っています。

枕草子に「父の名を辱めたくないので私(清少納言)は歌は詠みません」といった言い訳が許されたとあることから、当時からかなり著名な歌人であったと推測されます。

この歌に出てくる「末の松山」は松尾芭蕉のおくのほそ道にも登場します。

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