逢ふ事の(中納言朝忠)

短歌 に関する記事

逢ふ事の 絶えてしなくは 中々に
人をも身をも 恨みざらまし 中納言朝忠

■ 訳

いっそ(貴女との)逢瀬が一切無くなってしまえば、貴女のことも私の境遇も恨ましいと思うことも無くなるだろうに。

■ 解説

「逢ふ事」は逢瀬、「絶えてしなくは」は絶えてしまったら、「中々に」は中途半端に、「人をも身をも」は貴女のことも私の境遇も、「恨みざらまし」は恨ましく思うことも無いだろうに、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は拾遺和歌集 第十一巻(恋歌一 678首目)、小倉百人一首の第四十四首目に収録されています。
題に「天暦の御時歌合に」と書かれてあることから、清涼殿で開催された天徳内裏歌合の場で詠われたものです。
藤原元真との勝負の際に詠われましたが勝利しています。(7戦6勝と好成績を残しました。)

■ 豆知識

作者は藤原朝忠(ふじわらのあさただ)で三十六歌仙の一人です。
父は三条右大臣 藤原定方で、小倉百人一首 25首目に収録されています。

朝忠は笙(しょう:雅楽に用いる管楽器)が上手かったと伝えられています。

大変な巨漢(肥満体)で、笙が吹きづらくなったので、やせる薬が欲しいと医者に相談したところ、食事を瓜と水漬けの飯(おかゆをお茶漬け状にしたもの)だけに制限するよう薦められました。
早速試してみたのですが、効果が出ないと医者を訴えたそうです。
そこで、医者がその様子を確認したところ、呆れるほどたくさんの量を食べていた、という話が宇治拾遺物語に残っています。

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