風をいたみ(源重之)

短歌 に関する記事

風をいたみ 岩うつ波の をのれのみ
くだけて物を 思ふころかな 源重之

■ 訳

強風の中、波が岩にぶつかる(波だけが砕けてしまう)様子は、まるで片想いで自分ばかり思い悩んでいる私の姿みたいだなぁ。

■ 解説

「風をいたみ」は激しい風、「をのれのみ」は自分ばかり、「くだけて物を 思ふ」は心を千々にして思い悩む、といった意味になります。
片想いの相手を頑強な岩、自分を軟弱な波となぞらえた、一見絶望的とも思えるような恋の歌とも読むことができます。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は詞花和歌集 第七巻(恋上 211首目)、小倉百人一首の第四十八首目に収録されています。
題に「冷泉院春宮と申しける時百首の歌奉りけるによめる」(冷泉院(現在の二条城に庭園遺構が見つかっています)春宮(=東宮)で、百首の歌(重之百首)を献上した際に詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は源重之(みなもとのしげゆき)で、三十六歌仙の一人です。

私家集である「重之集」に収録されている「重之百首」は、東宮時代の冷泉天皇の名を受けて詠まれたもので、詠進した「百首歌」の中で最も古いものと言われています。

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