■ 解説
「君がため」はあなたのため、「惜しからざりし」は惜しいとも思わなかった、「長くもがな」は長くあって欲しい、といった意味になります。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は後拾遺和歌集 第十二巻(恋二 669首目)、小倉百人一首の第五十首目に収録されています。
題に「女の許より歸りて遣はしける」((逢瀬した後、)女性の元から帰ってきて使いを送った)とあり、この歌は初めて逢瀬した後に、その愛しい人に届けた手紙に書かれていたものです。
生真面目で信心深く、且つハンサムで知られた義孝は天然痘にかかり、わずか21歳という若さで亡くなってしまいます。
■ 豆知識
作者は藤原義孝(ふじわらのよしたか)で、中古三十六歌仙の一人です。
大鏡には、兄である藤原挙賢と共に、「前少将挙賢、後少将義孝とて、花を折り給ひし君達の、・・・」と記されており、兄弟共に大変な美男子であったことが伝えられています。
なお、義孝はその兄と同日に亡くなっています。
挙賢は朝に、義孝は夕方に亡くなった事から、夕少将という名が残されています。
子は藤原行成で、能書家として有名です。
三蹟の一人で、歴史的にも大変貴重な資料である権記を残したことでも知られています。
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