朝ぼらけ(権中納言定頼)

短歌 に関する記事

朝ぼらけ 宇治の川ぎり 絶えだえに
あらはれわたる 瀬々の網代木 権中納言定頼

■ 訳

夜が明けようとしている中、宇治川にかかった霧の途切れ途切れ(になった隙間)から、浅瀬に打たれた網代木(杭)が見えるよ。

■ 解説

「朝ぼらけ」は夜が白んで朝になりかけている状態(明け方)を、「宇治の川ぎり」は宇治川(歌枕)にかかる朝霧のこと、「絶えだえに」は途切れ途切れに、「あらはれわたる」はところどころから現れ、「瀬々」は多くの瀬(浅瀬)、「網代木(あじろぎ)」は漁をする際の定置網(網代)を設置する際に使う杭、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は千載和歌集 第六巻(冬歌 419首目)、小倉百人一首の第六十四首目に収録されています。
題に「宇治にまかりて侍りける時よめる」(現在の京都府宇治市に行った時詠んだ。)とあります。

■ 豆知識

作者は藤原定頼(ふじわらのさだより)で、中古三十六歌仙の一人です。
父は三舟の才のエピソードで有名な藤原公任(ふじわらのきんとう)で、小倉百人一首にも選歌されています。

父の才能を継いでか、音楽・読経・書の名手であったようで、経文を何も見ず読み上げたり、国司の延任申請の文章をあっという間に清書し終えた、といった話が残っています。

また、和泉式部の娘で才女として知られる、小式部内侍をからかうつもりが逆に言い負かされたエピソードも知られています。
小右記には、「定頼才能はなはだ賢し、然れども緩怠極まり無し」(定頼は才能があって賢いんだけど、無礼なことこの上ないやつだよ。)と書かれています。
(多才ゆえにちょっと調子に乗ってしまう悪いところも、父の血を継いでしまったのかもしれません。)

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