もろともに(大僧正行尊)

短歌 に関する記事

もろともに あはれと思へ 山桜
花よりほかに 知る人もなし 大僧正行尊

■ 訳

お前も私を愛しいと思ってくれよ、山桜。
お前と私以外(周りに)誰もいないことだしさ。

■ 解説

「もろともに」は一緒に、あるいは互いに、「あはれ」は愛しい、あるいは懐かしい、「花よりほかに」は目の前で咲いている桜以外に、「知る人もなし」は他に人もいないことだし、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は金葉和歌集 第九巻(雜部上 556首目)、小倉百人一首の第六十六首目に収録されています。
題に「大峯にておもひもかけずさくらの花の咲きたりけるをみてよめる」(大峰山の桜の花が思いがけず(ひっそりと)咲いていた様子を見て詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は行尊(ぎょうそん)で、天台座主 第44世、平等院大僧正とも呼ばれました。
行尊は源基平の息子で、12歳のときに出家しました。

大峰山葛城山熊野といった、様々な山で修行し修験者として知られており、上記の歌は修行中に詠んだのかもしれません。

今鏡には書家としても素晴らしかったとの記述があります。

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