嵐吹く(能因法師)

短歌 に関する記事

嵐吹く 三室の山の 紅葉ばは
龍田の川の 錦なりけり 能因法師

■ 訳

山から吹く風が三室山を彩る紅葉を散らして、龍田川がまるで美しい絹織物のようだよ。

■ 解説

「嵐吹く」は山から来る強い風を、「三室の山の」は三室山のを、「紅葉ばは」は紅葉した葉を、「錦」は(美しい)絹織物、「なりけり」は〜のようだ、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は後拾遺和歌集 第五巻(雜一 366首目)、小倉百人一首の第六十九首目に収録されています。
題に「永承四年内裏の歌合によめる」(1049年11月に開催された内裏歌合で詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は能因(のういん)で中古三十六歌仙の一人です。
俗名は橘永ト(たちばなのながやす)です。

能因法師は「のういんほっし」と読みます。
出家した理由は意中の人に振られたためと伝えられています。

能因法師の姉妹は清少納言の息子である橘則長と結婚しました。
現在まで伝わる枕草子の写本、能因本はここから伝わりました。

■ 関連地図


大きな地図で見る

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: