寂しさに(良暹法師)

短歌 に関する記事

寂しさに 宿を立ち出て ながむれば
いづくも同じ 秋の夕暮れ 良暹法師

■ 訳

(庵の中に一人で居ても)寂しいので、外出して外を眺めてみたのだけれど、どこも同じように(寂しい)秋の夕暮れが広がっていたよ。

■ 解説

「寂しさに」は寂しくて、「宿を立ち出て」は宿(草庵)を出て、「ながむれば」はじっと(外を)眺めてみたら、「いづくも」はどこも、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は後拾遺和歌集 第四巻(秋上 333首目)、小倉百人一首の第七十首目に収録されています。
「題志らず」となっているため詳細は不明ですが、隠棲していた京都市左京区にある大原の里で歌われたものといわれています。

■ 豆知識

作者は良暹(りょうぜん)です。
出自・経歴とも不明な人物ですが、歌人として優れた業績を残しており、源俊頼が良暹法師の庵の前を通る際、下馬して敬意を払ったという話が袋草紙に残されています。

生没年不詳ですが、65歳ぐらいで没したといわれています。
いくつかの歌合に参加した記録が残っています。
時代的には伊勢大輔とほぼ同年代で、伊勢大輔が参加した長久2年(1041年)2月に開催された歌合、「弘徽殿女御生子歌合」にも参加していたようです。

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