高砂の(前中納言匡房)

短歌 に関する記事

高砂の 尾上の桜 咲きにけり
とやまの霞 たたずもあらなむ 前中納言匡房

■ 訳

高砂の山頂に桜が咲いたそうだよ。
人里近くの山にかかっている霞には(せっかくの桜が霞んでしまうので)どうかこれ以上昇らないでほしいよ。

■ 解説

「高砂(たかさご)」は現在の兵庫県の播磨南東部(歌枕)を、「尾上」は峰の上から山頂を、「咲きにけり」は咲いたそうだ、「とやま」は人里近くの山のことを、「たたずも」は立たない、「あらなむ」はあってほしい(願望)、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は後拾遺和歌集 第一巻(春上 120首目)、小倉百人一首の第七十三首目に収録されています。
題に「内のおほいまうち君の家にて人々酒たうべて歌よみ侍りけるに遙に山の櫻を望むといふ心をよめる」(内大臣藤原師通の家で酒を飲み交わしながら「遥か彼方の山桜を見て」をテーマに詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は大江匡房(おおえのまさふさ)で、赤染衛門のひ孫に当たります。

大変賢い人で、わずか16歳で省試に合格、その2年後には対策に及第、侍読を三度も任ぜられるなど、かの大学者菅原道真と比較されるほどの秀才でした。

「洛陽田楽記」「本朝神仙伝」「狐媚記」「傀儡子記」「暮年記」「遊女記」など多数の書物を書き残しています。

後三条天皇のブレーンとして改革を進めました。
荘園整理令を発行することで、それまで権利をむさぼってきた摂関家には大打撃を与え、逆に荘園領主、農民に安定を与えることに成功しました。
古事談にはこの件を延久の善政として称えています。

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