秋風に(左京大夫顕輔)

短歌 に関する記事

秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれいづる月の かげのさやけさ 左京大夫顕輔

■ 訳

秋風で薄く長く漂う雲の切れ目から漏れ出る光は、なんて明るく澄み切った透明感があるのだろう。

■ 解説

「たなびく」は横に薄く長く広がっている様子(棚引いている)、「絶え間」は(雲の)切れ目、「影」は(月の)光を、「さやけさ」は清らかや澄み切った、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新古今和歌集 第四巻(秋歌上 413首目)、小倉百人一首の第七十九首目に収録されています。
題に「崇徳院に百首哥たてまつりけるに」(崇徳院百首歌久安百首)で披露された)とあります。
久安百首は編纂されたのが久安6年(1150年)で、実際にはお題が出された康治年間(1142年〜1144年)に詠まれたものと思われます。

■ 豆知識

作者は藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)で、父は藤原顕季で、歌道の流派である六条藤家の開祖です。
六条藤家は残念ながら南北朝期に断絶しています。

崇徳上皇の命により、仁平元年(1151年)に八代集の一つ、詞花和歌集を完成させました。

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