きりぎりす(後京極摂政太政大臣)

短歌 に関する記事

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかもねむ 後京極摂政太政大臣

■ 訳

コオロギよ、お前はこの霜の降る寒い夜、ムシロに片袖を敷いて、独り寂しく眠るのだろうか。

■ 解説

「きりぎりす」は現在のコオロギのことを、「霜夜」は霜が降りる寒い夜を、「さむしろに」は”寒い”と”むしろ”(狭筵(”さ”を接頭語))を掛けた言葉、「衣かたしき」は衣片敷きとなり片袖を敷いて、「ひとりかもねむ」は独りで寝るのだろうか、といった意味になります。
平安時代は互いの袖を枕にして眠る習慣があり、片敷きには独りという意味も含まれています。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新古今和歌集 第五巻(秋歌下 518首目)、小倉百人一首の第九十一首目に収録されています。
題には「百首哥たてまつりし時」(百首歌を奉った時に詠んだ。)と書かれています。

■ 豆知識

作者は九条良経(くじょうよしつね)で新三十六歌仙の一人、九条家二代目当主です。
小倉百人一首76首目に選歌されている藤原忠通の孫に当たります。

和歌、漢詩、書道に優れた教養人でしたが、特に祖父忠通が創始した法性寺流を汲み、それをさらに発展させた書は後京極流と呼ばれるようになり、力強い筆跡は僧侶や武家からも愛好されました。

わずか38歳という若さで亡くなっていますが、暗殺されたと言われています。
犯人は鎌倉幕府に対して友好的だった良経を危険視した反幕府派の人物や、直属の部下であった菅原為長などと言われていますが定かではありません。

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