み吉野の(参議雅経)

短歌 に関する記事

み吉野の 山の秋風 さよ更けて
故郷寒く 衣うつなり 参議雅経

■ 訳

吉野の山に秋風が吹き渡っている。
夜も更けると寒々しい古都奈良の都には衣を砧(きぬた)で打つ音が響き渡ってるよ。

■ 解説

「み吉野」は「み」が美(接頭語)、「吉野」が奈良県の吉野町を、「さよ更けて」は夜も更けて、「故郷」はかつての都、「衣打つなり」は砧(きぬた)で布を打っているよ、といった意味になります。
砧とは布のしわをのばしたり光沢を出すための木槌のことで、秋の季語としても用いられます。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新古今和歌集 第五巻(秋歌下 483首目)、小倉百人一首の第九十四首目に収録されています。
題に「擣衣の心を」(布を打つ心を)と書かれており、木槌で衣を打つ様子を詠んだものです。

■ 豆知識

作者は飛鳥井雅経(あすかいまさつね)で、飛鳥井家の祖です。

父親である難波頼経(藤原頼経)源義経と親しかったため、源頼朝に父とともに流罪にされ鎌倉に護送されますが、雅経の和歌、蹴鞠の才能を頼朝に高く評価されたことや、頼朝の息子である頼家や実朝とも親交があったため罪を許されて帰京します。

その後、後鳥羽上皇の近臣として仕え、上皇は雅経の蹴鞠の才能に「蹴鞠長者」の称号を与えました。
幕府からの招きにより、度々鎌倉に足を運び、藤原定家や鴨長明と三代将軍実朝との間を取り持っています。

飛鳥井家邸宅のあった白峰神宮では、サッカーの神様として崇められているそうです。

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