■ 解説
「ならの小川の」は奈良の川ではなく、京都市北区の上賀茂神社のそばを流れる御手洗川(ならの小川)と楢木(ならのき)を掛けたもの、「みそぎぞ」は旧暦六月に行われる大祓(夏越の祓、六月祓等とも言います。禊は境内を流れる御手洗川で行われていました)のこと、「しるしなりける」は証拠なんだよ、といった意味になります。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は新勅撰和歌集 第三巻(夏歌 192首目)、小倉百人一首の第九十八首目に収録されています。
題に「寛喜元年女御入内の屏風」(寛喜元年に女御が入内する時の(嫁入り道具である)屏風の添え歌)とあります。
当時、夏越の祓が終わると暦上では秋とされていました。
■ 豆知識
作者は藤原家隆(ふじわらのいえたか)で、新三十六歌仙の一人、新古今和歌集の撰者です。
藤原兼輔の子孫で、紫式部の遠縁、和歌は藤原俊成を師とし、寂蓮の婿だったという説があります。
また当時、藤原定家と並び評されるほどの実力の持ち主でした。
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