うちなびき(修理大夫顯季)

短歌 に関する記事

うちなびき 春はきにけり 山河の
岩間の氷 今日や解くらむ 修理大夫顯季

■ 訳

若草をなびかせながら、春がやってきたよ。
山や川の岩間にあった氷は今日にでも溶けきるだろうなぁ。

■ 解説

「うちなびき」は「春」にかかる枕詞で風が草や頬を撫でる様子、「きにけり」はやって来た、「今日や解くらむ」は今日中に溶かしてしまうだろうなぁ(感嘆+推量)、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は金葉和歌集 第一巻(春歌 第1首目)に収録されています。
題に「堀河院の御時百首の歌めしける時立春の心を詠み侍りける」(堀河天皇が行った堀河百首の歌合で立春の心について歌を詠んだ)と書かれています。
(堀河百首の歌合は長治二年五月(1105年6月頃)〜長治三年三月(1106年4月頃)までの間に行われています。)

■ 豆知識

作者は藤原顕季(ふじわらのあきすえ)で、歌流六条藤家の祖です。
藤原忠通主催の歌合で判者を務めるほど、時代を代表する歌人でした。

顕季の母が白河天皇の乳母であったため、白河天皇からの信頼が厚く、出世も早かったのですが、漢詩が作れなかったため参議になることは叶いませんでした。

顕季の息子である、藤原長実(ふじわらのながざね)、藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)は和歌の造詣が深く、とくに顕輔の詠んだ歌は小倉百人一首79首目にも収録されてます。
顕輔は崇徳上皇の命を受け、詞花和歌集を撰集しています。

柿本人麻呂を歌の神として崇める、人麿影供(ひとまろえいぐ)の創始者です。

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