■ 解説
「箱根八里」は東海道小田原宿から三島宿までの距離が約八里であったことから、箱根路のことを、「番所」は関所、「矢倉沢」は矢倉沢関所、「三島」は三島宿、「小田原」は小田原宿、「間の関所」はその中間にあった箱根関、「新井」は新井関所、「上方」は関東から見た場合、関西(京都、大阪)を、「尾上」は尾上神社で高砂の松(相生の松)が有名、「千歳の松」は明治時代に台風によって倒されるまで存在した若一王子神社の境内に植えられた千歳の松、といった意味になります。
ちなみになぜ女性を連れていくのかですが、これは参勤交代と関所の役割に関する話になります。
参勤交代は江戸に藩主の正室と世継ぎを人質として常駐させておくことが義務付けられており、その関係から関所では入鉄炮出女(いりでっぽうでおんな)、つまり江戸に入る鉄砲と江戸から出る女性が特に厳しく取り締まられていました。
女性には特に女手形と呼ばれる身体的特徴の書かれた特別な手形が発行されており、手続きも大変面倒なものでした。
■ この詩が詠まれた背景
この唄は馬追いが馬をひきながら唄う馬子唄の一種です。
ちなみに、牛を追う際に唄われる歌は牛追い唄と呼ばれます。
軍事的な理由から大井川には橋がかけられず、水かさが増すと何日も足止めを食らうことから唄われたようです。
■ 豆知識
神奈川県に伝わる民謡で、『箱根八里は 馬でも越すが 越すに越されぬ 大井川』の部分は、神奈川県箱根町元箱根に「箱根馬子唄の碑」という名で石碑が建てられています。
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