氷だに(源順)

短歌 に関する記事

氷だに とまらぬ春の たにかぜに
まだ打ちとけぬ 鶯のこゑ 源順

■ 訳

谷に張った氷ですら解けずにいられない春の(暖かな)風が吹いてきたのに、鶯はまだ心を打ち解かせず、声を聞かせてくれない。

■ 解説

「氷だに」は(谷川の)氷でさえ、「とまらぬ」は(氷が解けることが)止まらない、「春の たにかぜに」は、「鶯のこゑ」はウグイスの鳴き声、といった意味になります。
初春の氷の融ける様子と鶯がまだ打ち解けない(まだ鳴き始めていない)様子を掛けた詩です。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は拾遺和歌集 第一巻(春歌 第6首目)に収録されています。
題に「天暦御時歌合に」(村上天皇が天徳四年(960)3月30日に行った歌合)と書かれています。

■ 豆知識

作者は源順(みなもとのしたごう)で、学者で歌人、梨壺の五人の一人で、後撰和歌集の編纂や万葉集の解読を行いました。

様々な事物を漢文で説明し、日本語の呼称を万葉仮名で記した辞書「和名類聚抄」の作者で、平安時代以前の語彙や語音を知る上でも大変貴重な資料となっています。

源順は日本史においても屈指の大文学者で、「うつほ物語」、「落窪物語」、「竹取物語」など作者ではないかと言われています。
また、私家集である源順集には、「あめつちの詞(あめつちのことば)」や「双六盤歌」、「碁盤の歌」など、数々の技巧を凝らした和歌が掲載されています。

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