かぎりとて(桐壺更衣)

短歌 に関する記事

かぎりとて 別るる道の 悲しきに
いかまほしきは 命なりけり 桐壺更衣

■ 訳

今日限りで(貴方と)お別れする悲しみを超えてでも、私は生きる道を選びたいのです。

■ 解説

「かぎりとて」は今日限り、「別るる」は(貴方と)別れる、「道」は手段、手だて、「いか」はどれほど、「まほしき」は〜したい(希望)、「命なりけり」は生きること、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は源氏物語 第一巻(桐壺 第1首目)に収録されています。
背景をざっくり説明すると、元々病気がちであった桐壺更衣が桐壺帝の第二皇子(光源氏)を産んだ後、病状が悪化し、実家に帰って養生することを希望します。
桐壺帝は愛する妻と離れたくない一心で「限りある人生、最期の時まで一緒にいる約束だったではないか。私を置き去りにしないで欲しい」、と仰られたのですが、その際の答えとして詠んだ詩です。
なお、「かぎりとて」の部分は桐壺帝の台詞を掛けた言葉です。

■ 豆知識

この詩は源氏物語 第一巻に掲載されている詩です。
当然のことながら作者は源氏物語の作者、紫式部です。

まだ3歳の光源氏を残し、更衣はこの後すぐ亡くなってしまいます。
母の面影を忘れることができなかった光源氏は、その生涯、母への想いを追うことになります。

コメント

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人の生死を詠んだ素晴らしい和歌ですね。
僕をこの世に産んでくれた、今は亡き母の死の時のことが思い出されて感涙しました。
亡き母には感謝している日々です。
2022.3.16
神長直之
Posted by 神長直之 at 2022年03月16日 10:29
神長様、当ブログへのコメント、誠にありがとうございます。
体調を崩していた為、長らくログインしておらず返信が遅れてしまったこと、大変申し訳ございません。

お母様への感謝の言葉や気持ちが自然と溢れ出てくることは、それだけで素晴らしい親孝行かと思います。

ただ、神長様がお母様を想われているのと同じ様に、神長様のことを想われている家族や友人の方々もおられるかと思いますので、無理をなさらずご自愛くださいね。
Posted by waka at 2022年04月15日 22:01

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