いかづちの(よみ人しらず)

仏足石歌体 に関する記事

いかづちの ひかりのごとき
これのみは しにのおほきみ
つねにたぐへり おづべからずや よみ人しらず

■ 訳

雷光のように短い私の一生は常に死と共にあるようなものです。恐れてはいけません。

■ 解説

「いかづちの ひかりのごとき」は雷光のような(非常に短い時間の例え)、「これのみは」は(自分の)体、一生、「しにのおほきみ」は死王(閻魔大王)、転じて死、「つねにたぐへり」は常に共にある、「おづべからずや」は恐れてはならない、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は薬師寺仏足跡歌碑に刻まれた21首の詩の第二十首目です。
21首目は欠損しているため詠むことができないので、この詩が仏足跡歌碑最後の詩となります。

二十首目には「死」という題が設定されており、メメント・モリに近い警句が詠まれています。

■ 豆知識

死王こと閻魔大王ですが、仏教が成立するよりはるか前から信仰されていた神様です。
ゾロアスター教(ジャムシード)や北欧神話に登場する創世の巨人(ユミル)も同起源だとされており、紀元前1200年頃に成立したリグ・ヴェーダの記述によれば、人間の祖とされています。
ちなみに、リグ・ヴェーダでは死王になった理由は最初に死んだためだと言われています。

■ 関連地図

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