たまきはる(中皇命)

短歌 に関する記事

たまきはる 宇智の大野に 馬並めて
朝踏ますらむ その草深野 中皇命

■ 訳

宇智に広がる草原に馬を並べられ、朝、その草深い野を踏ませているのでしょう。

■ 解説

「たまきはる」は内(ここでは同音の宇智)に掛る枕詞、「宇智の大野」は現在の奈良県五條市(旧宇智郡)に広がっていた草原、「馬並めて(うまなめて)」は馬を並べて(一般に、馬を並べてその数を数える様子を指します)、「朝」は明け方、「踏ますらむ」は踏ませているのでしょう(推量)、「草深野」は草深い野、といった意味になります。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第一巻(雜歌 第4首目)に収録されています。
題に「反歌」とあり第3首目の詩の反歌(補足)です。
この詩もまた、狩猟に出た舒明天皇を祈願する詩とされています。

■ 豆知識

作者は中皇命(なかすめらのみこと)で、時代的にもおそらく間人皇女(はしひとのひめみこ)の事であろうとされています。

「たまきはる」は「うち」に掛り、命(魂)とつながりのある枕詞とされていますが、これは定説となっているわけではありません。
「たま」は魂以外に、玉(宝玉や真珠などの高貴なもの、もしくは美しいもの、球状の物体)を指す言葉ですので、「玉きはる」→「(京都弁風に)玉が(たくさん)おいでになる」→「お宝ザクザク」という感じで縁起を担ぐ豊猟祈願のような意味合いだったのかもしれません。(あくまでネタなので本気にしないでください。)
ちなみに「たまきはる」の部分は万葉仮名では「玉尅春」と書かれています。

■ 関連地図

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: