佐保姫の(前大納言爲氏)

短歌 に関する記事

佐保姫の 霞の衣 ふゆかけて
雪げのそらに はるは來にけり 前大納言爲氏

■ 訳

(まだ冬のはずなのに)佐保姫の霞でできた衣が(今年の冬に)掛けられたんじゃないだろうか。
今にも降り出しそうだった雪空にまるで春が来ちゃったようだよ。

■ 解説

「佐保姫(さほひめ)」は佐保山(現在は多聞城が築かれたり、宅地開発を進めた為存在していませんが、奈良県奈良市法蓮佐保山周辺になります)の神霊であり春の女神、「雪げ(ゆきげ)」は雪が降り出しそうな(底冷えする)空をそれぞれ意味しています。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新後撰和歌集 第一巻(春歌上)に収録されています。
題に「ふる年に春立ちける日詠み侍りける」(年明け前に春(のような暖かな日)がやってきたので詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は二条為氏(にじょうためうじ)で二条家の祖です。
亀山上皇の命により続拾遺和歌集の編纂を行ったことでも知られています。

歌人として多くの業績を残していますが、廷臣として仕事もきっちりこなす有能な人物であったようです。

■ 関連地図

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: