袖ひちて(紀貫之)

短歌 に関する記事

袖ひちて むすびし水の こほれるを
春立つけふの 風やとくらむ 紀貫之

■ 訳

袖を水にぬらして掬った水が、(冬の間は)凍っていたのだけれど、今日立春になって春風が解かしてくれたよ。

■ 解説

「袖ひちて」は袖を濡らして、「むすびし」は”掬びし”と書いて掬うこと、「こほれる」は”凍れる”と書き、凍っている、「けふ」は今日、「とくらむ」は(氷を)融かしてしまうだろう(推量)、をそれぞれ差します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第一巻 (春歌上 2首目)に収録されています。
題に「はるたちける日よめる」とあることから立春に詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は紀貫之(きのつらゆき)で、土佐日記の作者、古今和歌集の撰者、三十六歌仙の一人として知られています。
また、竹取物語の作者だったのではないか、とも言われています。

勅撰和歌集には全部で435首、紀貫之の詠んだ詩が含まれていますが、明治時代に入り正岡子規などから反発を受けることになります。
正岡子規は「歌よみに与ふる書」において、紀貫之を名指しし「下手な歌よみにて」、古今和歌集を「くだらぬ集にて有之候」とまで発言しています。
(以降の勅撰和歌集も「ミソカス」の「ミソカス」の「ミソカス」などと唾棄していますが。)
正岡子規は写生と呼ばれるリアリティーある文学を追及していたため、大げさ(デフォルメ的)な表現が多く含まれる和歌を認められなかったのかもしれません。

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