氷りゐし(大藏卿匡房)

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氷りゐし 志賀の唐崎 うちとけて
さゞ浪よする 春風ぞ吹く 大藏卿匡房

■ 訳

凍っていた志賀の唐崎(の港の氷)もすっかり解けて、春風がさざ波を寄せてきたよ。

■ 解説

「氷りゐし」は凍っていた、「志賀の唐崎」は滋賀県大津市唐崎(歌枕:琵琶湖西岸で港がありました)、「よする」はうちよせる、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は詞花和歌集 第一巻 (春 1首目)に選歌されています。
題に「堀河院の御時百首の歌奉りけるに春たつ心をよめる」(堀河天皇が治められていたとき、百首歌を献詠した際、立春について詠んだ)とあり、康和4(1102年)〜5年に行われた堀河院百首の際に詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は大江匡房(おおえのまさふさ)で、小倉百人一首では前中納言匡房として収録されています。
大江家は元々学者の家系で、幼少から文才に優れており、神童と呼ばれていたようです。
大蔵卿に遷任されたのは鳥羽天皇の時代(1111年)の事ですが、この年に亡くなられています。

祖先には大江千里、曾祖母に赤染衛門、子孫には戦国時代に活躍した毛利家がいます。

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