おしめども(素性法師)

短歌 に関する記事

おしめども とまらぬはるも あるものを
いはぬにきたる 夏衣かな 素性法師

■ 訳

ずっとそのままであって欲しいって思ってるのに止まらない春。
そうかと思えば、来てほしいなんて言ってもないのに来ちゃった夏。
(仕方ないので)夏服に着替えちゃったよ。

■ 解説

「おしめども」は惜しい、残念だけど、「とまらぬはる」は春が終わってしまう、「あるものを」はあるものだなぁ、「いはぬに」は言ってもないのに、「きたる」は来た、あるいは(服を)着た、「夏衣」は夏服の事で、単衣で薄地であることから「うすし」や「ひとへ」、「き(る)」などに掛る枕詞、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新古今和歌集 第三巻(夏歌 176首目)に収録されています。
題がないため詳細は不明ですが、過ぎゆく春を惜しむ気持ちと、来てほしくない夏の到来を詠んだ詩です。

■ 豆知識

作者は素性法師(そせいほっし)で、三十六歌仙の一人です。
桓武天皇のひ孫にあたり、小倉百人一首には21首目に素性法師の詠んだ詩が選歌されています。

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