我のみぞ(源師賢朝臣)

短歌 に関する記事

我のみぞ いそぎたゝれぬ 夏衣
ひとへに春を 惜む身なれば 源師賢朝臣

■ 訳

私だけだよ。夏服に着替えていないのは。
でも、私はただ一途に春を惜しんでいるから、まだ着替えていないんだよ。

■ 解説

「我のみぞ」は私だけだよ、「いそぎたゝれぬ」は「いそぎ」が支度する、「たゝれぬ(裁たれぬ)」は(布を)裁っていない((時間が)経っていない)、「夏衣(なつごろも)」は夏服(ひとへ(単衣)に掛る枕詞)、「ひとへに」は一途に、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は金葉和歌集 第二巻(夏歌)に収録されています。
題に「卯月のついたちの日ころもがへの心をよめる」((旧暦の)4月1日の衣替えの気持ちを詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は源師賢で、母は源頼光の娘、琴の名手として知られています。

平安時代の夏服ですが、単衣(ひとえぎぬ)といい、裏地のない衣服で、盛夏服としては帷子(かたびら)が使われていました。
ちなみに衣替えは行事として行われており、旧暦の4月1日と10月1日に夏服、冬服に着替えられていたようです。

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