夏衣(前中納言匡房)

短歌 に関する記事

夏衣 はなの袂に ぬぎかへて
春のかたみも とまらざりけり 前中納言匡房

■ 訳

夏の華やかな服に着替えたら、春の名残も消えてしまったよ。

■ 解説

「夏衣(なつごろも)」は夏服(ここでは「ぬぎかへ」に掛る枕詞)、「はなの袂(たもと)」は華やかな衣服(はなは桜を意味するので、春との決別も意味するかと思います。)、「ぬぎかへ」は着替え、「かたみ」は思い出、「とまらざりけり」は消えてしまずにはいられない、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は千載和歌集 第三巻 (夏歌)に収録されています。
千載和歌集の題に「堀川院の御時百首の歌奉りける時更衣のこゝろをよみ侍りける」(堀河天皇が治められていたとき、百首歌を献詠した際、衣替えの趣を詠んだ)とあり、前回同様、康和4〜5年に行われた堀河院百首の際に詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は大江匡房(おおえのまさふさ)です。
大江匡房は生涯最高位として正二位の位を受けていますが、これは歴代の徳川将軍家と同じ位です。
(初代の三代(家康、秀忠、家光)と大政奉還を行った慶喜はさらに上の位を受けています。)

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