五月こば(伊勢)

短歌 に関する記事

五月こば なきもふりなむ 郭公
まだしきほどの こゑをきかばや 伊勢

■ 訳

5月になったらホトトギスの声も珍しくなくなるのでしょうが、(今の鳴き慣れていない)未熟な声を聴きたいものです。

■ 解説

「五月(さつき)」は旧暦5月、「ふりなむ」はありふれているだろう(推量)、「郭公(ほととぎす)」はホトトギス、「まだしき」は未熟、不十分、「ほど」は〜ぐらい、「こゑ」は鳴き声、「ばや」は〜したいものだ(願望)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 (第三巻 夏歌 138首目)に収録されています。
題は記されていません。

■ 豆知識

作者は伊勢(いせ)で三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人です。
小倉百人一首には「難波がた 短き葦の ふしの間も」が選歌されています。

「五月」、「まだしきほど」という表現から、「夏歌」とされていますが夏としてはまだ早めの、(旧暦)四月上旬ではないかと思われます。

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