おしなべて(院御製)

短歌 に関する記事

おしなべて 梢青葉に なりぬれば
松の緑も わかれざりけり 院御製

■ 訳

(夏になって)全ての枝に葉が生え揃ったので、もう松葉がどれかわからないよ。

■ 解説

「おしなべて」は全部、すべて、「梢(こずえ)」は枝の先、「なりぬれば」はなったので、「わかれざりけり」は区別できないをそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は金葉和歌集 (第二巻 夏歌)に収録されています。
題に「應徳元年四月三條の内裏にて庭樹結葉といへる事をよませ給ひける」(応徳元年四月(1084年5月)、東三条殿で庭の木に葉が茂ったことについて詠まれた)とあります。

■ 豆知識

作者は白河天皇で第72代天皇で、勅撰和歌集の内、後拾遺和歌集、金葉和歌集の二集の勅命を出しています。

白河天皇は愛妻家で、妻である藤原賢子(ふじわらのけんし)が亡くなるまで、賢子一筋でした。
しかし、最愛の妻である賢子がわずか28歳で亡くなってしまった悲しみを埋めるためからか、賢子の死後、多くの女性と関係を持ったことであらぬ噂が立つようになります。
例えば崇徳天皇の父は鳥羽天皇とされていますが、実は白河天皇の落胤だったのではないかという噂は当時から流布しており、古事談には鳥羽天皇が崇徳天皇を叔父子と呼び、忌み嫌っていたという話が載せられています。

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