■ 解説
「海神(わだつみ)」は海原、「豊旗雲(とよはたくも)」は旗のようになびく美しい雲、「入日」は沈む太陽、「さやけく」は明るい(すがすがしい)、をそれぞれ意味します。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は万葉集 (第一巻 15首目)に収録されており、13首目の反歌です。
この詩には注釈があり、「右一首歌今案不似反歌也 但舊本以此歌載於反歌 故今猶載此次 亦紀曰 天豊財重日足姫天皇先四年乙巳立天皇為皇太子」(この歌は考えてみたが反歌にそぐわない。ただし、古い書ではこの歌を乗せて反歌としている。故に今もこの歌を反歌として載せた。紀によれば、天豊財重日足姫天皇(皇極/斉明天皇)、乙巳(645年)の4年前に(皇極)天皇をたてて皇太子(中大兄皇子)とする。)と書かれています。
紀とは日本書紀22巻の皇極紀ですが、少なくともこの版(西本願寺本)が写本として残された当時に他の版があり、写本する際に筆者は「三山歌」という題がついていることに対して違和感を感じたため注釈を入れたようです。
■ 豆知識
作者は天智天皇で第38代天皇です。
白村江の戦いに向かう際に詠んだとするのであれば、熟田津に向かう途中の播磨灘(沿岸が印南国原)から見た景色を詠んだとすることで、ある程度説明が付けられるかもしれません。
■ 関連地図
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