はしちかみ(從三位盛親)

短歌 に関する記事

はしちかみ 轉寢ながら 更くる夜の
月の影しく 床ぞ凉しき 從三位盛親

■ 訳

縁側でうたた寝をしながら更けていく夜。
月光は一面に広がっていて、寝床は涼しかったよ。

■ 解説

「はしちかみ(端近み)」は縁側で、「轉寢ながら(うたたねながら)」はうたたね(ついうとうとする様子)しながら、「更くる夜(ふくくるよ)」は夜が更けてきた様子、「月の影しく」は月光が広がる、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は風雅和歌集 第四巻(夏歌)に収録されています。
題は「夏の歌の中に」とあります。

■ 豆知識

作者は藤原盛親(ふじはらのもりちか)です。
後に出家したとの記録が残されています。

徒然草 第百六十三段に登場する盛親入道はこの藤原盛親が出家した後の話ではないか、とされています。

コメント

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『徒然草』第六十段の盛親僧都を読み、ちょうどTVerで再配信(2022末頃)していた阿部寛の「結婚できない男」そっくりだなと思い、をかしく、盛親でググってこちらにたどり着きました。『徒然草』自体がひねくれ老人の何事にもとらわれない「よろづ自由」精神の書きつけですが、なかでも盛親は、「尋常ならぬさまなれども、人には厭われず、万(よろづ)許されけり。徳の至れりけるにや」と兼好の理想像のように書かれています。その憎み切れないひねくれものの歌の、案外なこの清涼、清浄さ。内面までほんとにひねくれてたら慕われたりしないってことでしょうね。

Posted by ほっこり at 2023年03月02日 08:08
ほっこり様。
当ブログへコメントを頂き、ありがとうございます。

兼好法師は盛親僧都のことをサトイモ大好きで変なあだ名を付けたがり行動が自由過ぎる点以外は、イケメンで賢く字も上手くて力持ちで話も上手い(+人から好かれる)パーフェクトな人物として描いていますね。
ご紹介いただいたドラマはまだ見たことがないのですが、前半はともかく後半は阿部寛さんに似ているかもしれません。

盛親僧都と盛親入道は別人(陰陽師が太衝の太の字に点を付けるか付けないかを言い争っている際に仲裁に入った人物)なのですが、一方は貧乏だが周りから好かれる自由人、もう一方はお金はあるがしがらみだらけの大蔵卿という図は何とも言えない対照的な印象を受けますよね。
Posted by waka at 2023年03月05日 17:53

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