あかでゆく(藤原實清朝臣)

短歌 に関する記事

あかでゆく 春のわかれに 古の
人やう月と いひはじめけむ 藤原實清朝臣

■ 訳

満ち足りないまま過ぎ去っていく春との別れを、昔の人は卯月(憂いの月)と言い始めたんだろうね。

■ 解説

「あかで」は満ち足りずに、「う月」は卯月(旧暦4月)と憂うを掛けた言葉、「けむ」は〜だったんだろう(過去の推量)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は千載和歌集 第三巻 (夏歌)に収録されています。
千載和歌集の題に「崇徳院に百首の歌奉りける時夏のはじめの歌とてよめる」(崇徳天皇に、百首歌を献詠した際、初夏の歌として詠んだ)とあり、久安六年(1150年)に行われた久安百首の際に詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は藤原実清(ふじわらのさねきよ)です。
藤原顕季(ふじわらのあきすえ)のひ孫にあたり、叔母は玉藻前のモデルと言われている藤原得子(ふじわらのなりこ)です。

歌人として久安百首や続詞花集などに名が見られ、勅撰和歌集には2首選歌されています。

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