■ 解説
「やよ」がおい(呼びかけ)、「や」があっ(気づいた時の発声)、「まて」は待って、「山郭公(やまほととぎす)」はホトトギス、「言づてむ」は伝言を頼む、「すみわびぬ」はこの世に生きていくのが辛い、「とよ」を〜を、それぞれ意味します。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は古今和歌集 第三巻(夏歌 152首目)に収録されています。
「題しらず」となっているため、題はありません。
■ 豆知識
作者は三国町(みくにのまち)で仁明天皇(にんみょうてんのう)の更衣です。
仁明天皇との間に皇子、貞登(さだのみのる)を産みましたが、藤原有貞(ふじわらのありさだ)との密通を疑われ更衣を廃されています。
題はありませんが「すみわびぬ」という表現から、疑いをかけられ更衣を廃された時に詠まれたものかもしれません。
ちなみになぜ山に帰ろうとするホトトギスに伝言しようとしているのかですが、柳田国男によれば、古来日本において死者の霊は近くの山にとどまるとされており、お彼岸は山からやってきた祖霊を奉るという考えが強く、実際お墓も山の中腹から子孫を見守るように作られていました。
山の向こう側があの世(彼岸)であり、「すみわびぬ」はこの考えに繋がっています。
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