五月雨に(紀とものり)

短歌 に関する記事

五月雨に 物思ひをれば 郭公
夜ふかくなきて いづちゆくらむ 紀とものり

■ 訳

梅雨空を見ながら色々と思い悩んでいると、ホトトギスがやってきた!
夜遅くまで鳴いていたんだけど、あの後一体どこに行ってしまったのだろう。

■ 解説

「五月雨(さみだれ)」は梅雨、「物思ひ」は思い悩む、「郭公(ほととぎす)」はホトトギス、「夜ふかく」は夜遅く、「いづち」は何処、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第三巻(夏歌 153首目)に収録されています。
題に「寛平御時きさいの宮の哥合のうた」(寛平御時后宮歌合で詠まれた歌)とあります。
ちなみにこの歌合は寛平元年(889年)に行われた歌合で資料が現存する歌合の中では二番目に古いものです。

■ 豆知識

作者は紀友則(きのとものり)で、三十六歌仙の一人、紀貫之の従兄弟です。
古今和歌集の撰者ですが完成前に亡くなっており、同じ撰者であった紀貫之壬生忠岑がその死を惜しんだ詩を詠んでいます。

小倉百人一首では33首目、「ひさかたの 光のどけき 春の日に…」が選歌されています。

梅雨を意味する五月雨をなぜ五月の雨と書くのかですが、これは旧暦の5月がちょうど梅雨の時期と被るためです。
(”さみだれ”と読ませるのは「する」+「水垂」で雨の降る様子を指します。)
逆に六月を水無月と呼びますが、これは田に水を入れる水の月と読ませるという説と、梅雨が明けるのが旧暦六月に相当するため水の無い月と読ませるといった二通りの説があります。

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