やどりせし(大江千里)

短歌 に関する記事

やどりせし 花橘も かれなくに
などほととぎす こゑたえぬらむ 大江千里

■ 訳

(我が家の)橘の花はまだ枯れていないのに、なぜホトトギスは鳴かなくなってしまったのだろう。

■ 解説

「やどりせし」は住んでいる、「花橘」は橘の花、「かれなく」は枯れていない、「など」はどうして、なぜ、「こゑたえぬらむ」はどうして(鳴き)声が絶えてしまったのだろう(推量)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第三巻(夏歌 155首目)に収録されています。
題に「寛平御時きさいの宮の哥合のうた」(寛平御時后宮歌合で詠まれた歌)とあります。

■ 豆知識

作者は大江千里(おおえのちさと)で中古三十六歌仙の一人です。
小倉百人一首では23首目「月みれば 千々に物こそ 悲しけれ…」が選歌されています。

同時代の著名な人物として、小野篁や菅原道真がいます。
三人とも大学寮を出ているため、もしかしたら顔見知りだったかもしれません。

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