五月雨の(つらゆき)

短歌 に関する記事

五月雨の そらもとどろに 郭公
なにをうしとか よただなくらむ つらゆき

■ 訳

どんよりとした梅雨の夜空に響き渡るかのようにホトトギスが鳴いている。
世の中の何を(そんなに)憂いてやみくもに鳴いているののだろう。

■ 解説

「五月雨(さみだれ)」は梅雨、「とどろ」は大きく鳴り響く様子、「郭公(ほととぎす)」はホトトギス、「うし(憂し)」はつらい、恨めしい、「ただ」はむやみに、「らむ」はどうして〜だろう(推量)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第三巻(夏歌 160首目)に収録されています。
題に「郭公のなくをききてよめる」(ホトトギスが鳴いてるのを聞いて詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は紀貫之で三十六歌仙の一人、土佐日記の作者、古今和歌集の撰者の一人として知られています。

この和歌で詠まれている「とどろ」ですが、漢字で轟と書きます。
同じ漢字が3つ使われている文字としては、「森:もり」、「蟲:むし」、「麤:あら(い)」、「焱:ほのお」、「犇:ひし(めく)」などがあります。
このような、複数の漢字で1文字を構成する漢字を理義字といいます。

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