はちすばの(僧正へんぜう)

短歌 に関する記事

はちすばの にごりにしまぬ 心もて
なにかはつゆを 玉とあざむく 僧正へんぜう

■ 訳

ハスの葉は(ハスの生える泥水に)汚れて染まることのない(清い)心を持ちながら、どうして(ハスの葉の上に貯まる)露をまるで宝石のように騙すのだろうか。(いや、そんなつもりはないのだろう。)

■ 解説

「はちすば」はハスの葉、「にごりにしまぬ」は汚れて染まらない、「なにかは」はどうして〜だろうか(疑問(+反語:いや、〜ではない))、「あざむく」はだます、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第三巻(夏歌 165首目)に収録されています。
題に「はちすのつゆを見てよめる」(ハスの葉に乗っている露を見て詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は遍昭(へんじょう)で六歌仙および三十六歌仙の一人です。
小倉百人一首では12首目に「あまつ風 雲のかよひじ 吹きとぢよ…」が掲載されています。

ハスは泥水で育ちますが、葉も花も汚れません。
これはハスの持つ自浄性によるもので、ハス効果(またはロータス効果)と言い、これは葉の表面にある微細構造によるものです。
フライパンなどの汚れ防止によく使われているフッ素加工はこのロータス効果を用いたものです。

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