■ 解説
「うつせみの」は命に掛る枕詞(うつせみ:この世の意味)、「伊良虞の島(いらごのしま)」は現在の伊勢湾にある伊良湖岬沖にある島(詳しく分かっていませんが、おそらく神島)、「刈り食む(かりはむ)」は刈り取って食べる、をそれぞれ意味します。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は万葉集 第一巻(雜歌 24首目)に収録されています。
この詩は前回(23首目)の返歌です。
■ 豆知識
作者は麻続王(おみおう)です。
三位の位を授けられたようですが、記述が少なく、謎の多い人物です。
天武天皇の時代に罪を犯して一族が流罪となっていますが、どういった罪を犯したのかも分かっていません。
天武天皇が壬申の乱を起こしたのち、功労のあった家臣に対して冠位を与えていることから、麻続王も壬申の乱に参加していた可能性があります。
流刑地についてですが、書物により場所が異なります。
万葉集では伊勢湾、日本書紀では因幡(鳥取東部)、常陸国風土記では常陸国行方郡板来村(茨城県潮来町)となっています。
もっとも信頼性が高いと思われるのは日本書紀の記述で、その他は流罪となったという事実だけ知ったその土地の人々が伝説や詩として残しただけなのかもしれません。
■ 関連地図
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