あききぬと(藤原敏行朝臣)

短歌 に関する記事

あききぬと めにはさやかに 見えねども
風のおとにぞ おどろかれぬる 藤原敏行朝臣

■ 訳

秋が来たとはっきり目にすることはできないけれど、風の音に秋の訪れを気づかされたよ。

■ 解説

「きぬ」は来た、「さやか」ははっきりしている様子、「おどろかれぬる」ははっと気がついた(完了)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(秋歌上 169首目)に収録されています。
題に「秋立つ日よめる」(立秋の日に詠んだ)とあります。
(ちなみに立秋は現在の暦だと8月6日〜9日頃に相当します。)

■ 豆知識

作者は藤原敏行(ふじわらのとしゆき)で三十六歌仙の一人、能書家として知られています。
小倉百人一首では18首目、「住の江の 岸による波 よるさへや…」が選歌されています。

当時交易のあった渤海国に寛平四年(892年)六月に太政官牒を送った際、藤原敏行がその書を書いたことが記録に残されています。

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