天河(とものり)

短歌 に関する記事

天河 あさせしら浪 たどりつつ
わたりはてねば あけぞしにける とものり

■ 訳

天の川の浅瀬を白波を辿りながら渡ろうとしたが、渡り切れないまま夜が明けてしまった。

■ 解説

「天河(あまのがわ)」は天の川、「わたりはてねば」は渡り切れなかったので、「あけぞしにける」は(夜が)明けてしまった、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(秋歌上 177首目)に収録されています。
「寛平御時なぬかの夜、うへにさぶらふをのこども、 哥たてまつれとおほせられける時に、人にかはりてよめる」(寛平(889年〜898年、宇多天皇の時代)の頃、7日の夜に、天皇にお仕えしている殿上人が詩を詠めとご命令になった際、他の人の代わりに詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は紀友則(きのとものり)で、三十六歌仙の一人、古今和歌集の撰者の一人です。

天の川を渡ったとあることから、彦星の気持ちを詠んだものと推測されます。
「あさせ」、「しら浪」、「わたりはて」とあることから、もしかしたら雨が降っていたのかもしれません。

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